#303 第二回メキシコ国際射撃大会優勝記念特集号(創刊300号突破記念)

THE SHOOTERS No.303 / 2020年12月15日発行 より抜粋

トラップ・スキート共に団体優勝、麻生太郎がスキート個人で金メダルの快挙

ザ・シューターズ創刊#300号突破記念と称して歴史を振り返る第二回目は、昭和48年7月1日に発刊された

『第二回メキシコ国際射撃大会優勝記念特集号』です。 少し歴史を調べてみましたが、あとにも先にも特集号が出たのはこれ1回だけのようです。 ( [#301 1964年当時に想いを馳せて] もあわせてご覧ください)

冒頭、日本選手団長の加藤大豊副会長からの「遠征お礼」が記載されています。

『今度のメキシコ派遣に際しては、全国会員の皆様の絶大なる御声援によりまして御承知のとおり大勝利をうることができました。派遣団を代表して厚く御礼申します。』

『上位入賞が日体協復帰の近道と、土屋会長の命もあり、全員死力を尽くす努力をしました。この一念が神に通じたのか、日本クレー射撃協会始まって以来のトラップ、スキートのW優勝と、個人の優勝、準優勝―――私の終生忘れることのできない感激であります。』

とあります。

・・・
『太陽の国メキシコから日本クレーに招待状が届いたのは昨年暮れ。日体協から海外遠征OKの許しが出て、二年半ぶりに、国際試合のチャンスがめぐってきた。』

『大急ぎの選考会をへて、加藤大豊団長以下15人の日本チームは4月4日羽田発、8日からの第二回メキシコ国際射撃大会に参加した。』

『26カ国の出場。華やかなセレモニーがあって、9日から競技開始。先陣のスキート陣が強敵アメリカをデッドヒートのすえ下して、団体、個人の両種目を制覇すると、12日からのトラップ陣も「スキートに負けまい」とがんばり、クレー界で前人未踏の総合優勝の道が開けていったのである。』

・・・
『10日 スキート第2日目。新人渡辺の出来はすばらしい。本人も自分の出来に首をかしげる。』

『団体戦いよいよアンカー麻生選手。アメリカに3点勝っている。一発一発の息も止まるほどの死闘だ。』

『いよいよあと3枚。このうち1枚当たれば勝ちだ。最初の1枚祈りをこめる。』

『ショツト!』

『クレーは粉微塵。勝った。勝った。思わず胸がこみ上げ、目尻がジーンと熱くなる。とにかくやったのだ。麻生満点。お祝いの各国選手から握手攻め。万歳!!心の中で思わず叫ぶ。麻生選手とのお祝いの握手も力がこもり思わず抱き合う。』

『11日 スキート団体優勝に続いて今日は麻生選手の個人優勝をかけての勝負だ。最終ラウンド満点なら逃げ切り。1枚抜けばアメリカのジョンソンと同点。息づまる一戦だ。』

麻生慎重に射ってノーミスを続ける。外国選手の観戦も総動員で新聞記者、カメラマンもシャッターをきるのに忙しい。』

『最終オプションショット粉になる。やった!!やった!!万雷の拍手、堂々個人優勝もものにした。』

『もみくちゃの麻生選手。世界のTAROになったのだ。この感激は本人も私たちも終生忘れる事の出来ないシーンだ。』

『この後、渡辺選手の個人3位競射、よく健闘したが5位入賞。新人にて国際試合初出場して世界強豪相手に5位入賞は立派だ。』

『心からスキート選手全員の健闘をたたえたい。スキートで2本の日の丸を勝ち得た日本チーム。トラップ選手の心境は如何に?』

麻生選手のレポート抜粋

『思い返してみると、ここまでくる年月のなんと長かったことか・・・。20歳になったとき、当時の村山射場で藤堂さんに師事してから12年。ずいぶんと厳しい指導であったが、本当に心を込めて教え込んでいただいたものだ。今回の優勝を誰よりも喜んでおられることだろう。一番先にお礼を申し上げたい方だと思っている。』

『さて、今後の国際試合だが、日本に優勝をさらわれた世界の強豪たちが、いままでどおりの親善ムードだけで接してくれるかどうか』

—<中略>

『日本も今後、更に海外に選手を送って、外国の試合に慣れさせ、皆と知りあって違和感をなくする努力をすることが、一番大切な事ではないだろうか・・・』

・・・
『12日 トラップ試合開始、スキートと全然同じペースだ。これはいけると大きな期待に胸がはずむ。』

『第1日目、またアメリカと同点1位で並ぶ(後で解ったのだが計算違いで1点勝っていた)。第1、第2ラウンドにてアメリカに3点の差をつけるが最終ラウンド3点追い付かれ同点になったと思った。ISUルールによると、団体同点の場合、最終ラウンド合計にて決するとある。日本の負けで2位である。』

『全員トラップ選手シュンとしてレストランに引き揚げるが、その後採点表と首引にて合計点を計算、初日の1点勝っていたのがものを言って1点差にて団体優勝と決まった。』

『いろいろなアクシデント、パプニングがあっての優勝決定と解ったので選手役員のうれしさもひとしお。皆踊り上がらんばかりの騒ぎとなる。なんとも言えない感激である。1点の余裕があったのが何より。トラップ、スキートのW優勝とは。それにしてもやりにやった。思いもよらないパーフェクトゲームだ。

4月20日羽田帰着風景

『14日 最終日、葛城選手の個人入賞に期待をかける。』

『現在3位同点3人。最終日、わが日本トラップエース葛城、50発ストレートで射上げ、同率2位3名競射となる。世界選手権保持者フランスのバウドと2回目の競射にて勝ち2位銀メダル確保は見ごと。』

『表彰式に日の丸が4本。遠く日本より6,000キロ離れたメキシコの空高く上がったのはこの上とない喜びだ。』

『遠く異国の地に君が代の曲の音が会場一杯に3回も吹奏され、国旗に向かって敬礼する感激。私の人生でこんなに経験ができるとは・・・。とにかく、終世忘れられぬ良き思い出になることだと思った。』

—<中略>

『これからは日本チームもマークされる。今までの倍以上の努力が必要だ。』

(広報担当 坂本 強)

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