オリンピック正式種目「クレー射撃」とは?

世界の競技人口は約500万人!!クレー射撃は世界のメジャースポーツです。知っているようで知らないクレー射撃についてのトリビア。

オリンピック正式種目「クレー射撃」とはどんな競技?

クレーと呼ばれる陶器製の標的を、散弾銃(ショットガン)で撃ち壊す標的射撃競技です。空中に射出されるクレーを撃つシーンを思い浮かべる人が多いでしょうが、これは数あるクレー種目の中で「トラップ」「スキート」と呼ばれるもの。もとは鳥撃ちとして楽しんでいたものを競技化した種目で、オリンピックでも正式種目として採用されています。

それ以外にも、地面に転がしたクレーをウサギに見立てて狙う「ラビット」や、 スラグと呼ばれる単発弾でレールに沿って移動する的を撃つ「ランニング・ターゲット」など、さまざまな種目が世界中で楽しまれています。銃の取得に厳しい制感がある日本では、残念ながら競技人口は決して多くありませんが、それでも12万人ともいわれています(2013年調べ)。

日本の射撃競技人口

銃所持に厳しい規制がある日本の場合、もっとも競技人口が多いクレー射撃でも、競技参加者は12万人ほどとされています(散弾銃の所持者は全国で15~16万人)。それ以外の射撃競技だと、ライフル種目が約6,500人。規制で所持人数の上限が決められているピストル種目はさらに少なく、空気銃が500人、装薬銃が50人です。ほかの競技、例えば ゴルフの競技人口670万人(レジャー白書2018より)と比べると、かなり少ないと言わざるをえません。

それでも選手のレベルは決して低くはなく、 1992年のバルセロナ五輪では渡辺和三選手(当時44歳) が男子トラップ種目で銀メダルを獲得しています。国別のクレー射撃競技人口を比較すると、日本と他国との差は意外と少ないです。大きな違いは職業競技者の数で、それが多い国ほどメダル獲得数が多い傾向にあります。

世界の競技人口は約500万人!!​

近年のオリンピックでのクレー射撃種目において、メダルの獲得数が多いイタリア、アメリカの競技人口に注目してみると、日本とは銃に関する規制が違うせいか競技人口はかなり多いようです。ただ、もっとも大きな違いは職業競技者の数といわれています。

職業軍人の数が多いアメリカ、そして近年では中国の選手も、国際的な大会で大きな競技力を誇っているようです。日本で言えば、警察や自衛隊から競技に参加する選手のことです。さらに世界との違いとして挙げられるのは、参加する種目の違いです。

国内で散弾銃を使う競技者は、ISSF(国際射撃連盟)の国際ルールに則った(または基にした)トラップ種目とスキート種目、猟友会でのフィールド射撃が多数を占めますが、じつは欧米では、このISSFルール以外の射撃競技を楽しむ競技者が多いのです。特に最近、[FITASC] という団体が主催する「コンパック競技」(通常より射場がコンパクトなかわりに、クレー射出のパターンが多い)が人気上昇中で、トラップやスキートの競技人口をしのぐ勢いだそうです。

各国の射撃事情

先に述べたように、規制の厳しい日本では銃を所持するには厳重な審査を通過する必要があり、さらに所持許可を得てからも保管や運搬に対してルールの遵守が求められます。これは日本で射撃競技がマイナーである一因ですが、実のところ銃社会と言われるアメリカでも規制は存在します。州によって違いはありますが、例えばテキサス州では銃の購入は日本より容易でも、 銃を携帯して持ち歩くのに専用の免許が必要です。また学校や病院やバーには、携帯許可証があっても銃の持ち込みは禁止されています。さらにお隣の韓国では個人での銃所持は認められておらず、普段は警察に預けておいて、競技のたびに申請して借り受ける必要があります。

欧米と日本の射撃事情の大きな違いとしては、射撃場が身近かどうかという点も挙げられるでしょう。射撃人口が多いアメリカでは、それに応じて射撃場の数が増えるのは当然ですし、利用者の多さは射撃場の経営しやすさにつながるため、一人当たりの利用料金も抑えられてさらに利用者が増える、という寸法です。

Malta National Shooting Ranges

日本ではクレ一射撃協会が公式大会で使用する [公認射撃場]全国約70ヵ所ありますが、アメリカの射撃場ほど余裕がある施設はなかなかないのが実情です。ちなみに上の写真は、ISSFワールドカップ会場となったマルタ・ シッジーウィの射撃場、下の写真はアメリカ・ツーソンの射撃場です。どちらも広大な自然に囲まれた素晴らしい射撃場です。

Tucson Trap & Skeet Club

あわせてご覧ください