#303 第2回全日本パラクレー射撃選手権大会

THE SHOOTERS No.303 / 2020年12月15日発行 より抜粋

2020年8月8日(土)~9日(日) : 島根大東クレー射撃場

2020年8月8日(土)と9日(日)の両日、島根県雲南市の島根大東クレー射撃場を会場に「第2回全日本パラクレー射撃選手権大会」が第3次島根公式と同時開催されました。

パラクレー射撃部会では今年度から個人サポーター会員を募集しています。今大会より第3次島根公式に出場された個人サポーター選手は、SG-F(ショットガンフリー)クラスの表彰対象といたしました。障害者と一般射手であるSG-Fクラスの選手が同一ルールの下で試合を行い、選手間の技術の交流はもとよりクレー射撃の更なる魅力発見に繋がり、大変盛り上がる大会となりました。企業サポーターの中には、記念すべきSG-Fクラス最初の大会に花を添えるべく、遠方よりわざわざ足をお運びいただいた方もいらっしゃいました。

会場がある 山王寺は日本棚田百選 にも選ばれており、この時期、風になびく青々とした稲が目にまぶしいのでしょうが、初日の受付時は生憎の大雨。足下の悪い中、今回大塚製薬さまから協賛品として提供いただきましたポカリスエットを全員に配り、蒸し暑い中での熱中症予防を呼びかけました。また新型コロナウイルス感染症拡大防止の為、看護士資格を持つ部会メンバーの指導の下、全員の検温と連絡先などの記録、スタッフのフェイスシールド着用、消毒の実施、マスクの着用等を行い、可能な限り感染防止に努めました。

昼食には島根県クレー射撃協会の皆様から、初日はカレー、2日目はシジミの炊き込みご飯と味噌汁が振る舞われ、県外から来られた皆様も特産のシジミに舌鼓を打たれていました。

今大会は第3次島根公式1日目の4Rのうちの3Rと2日目の4Rのうちの2R、合計5Rを予選とし、ファイナルで最終的な順位を決めます。朝方の大雨は徐々に小降りとなり午後には曇り、コンディションも回復してきました。初日は、その中でも練習量豊富な浜村選手がトップで終了しました。

2日目は打って変わっての晴天。会場は標高450mとは言え、だんだん気温も上がってきます。そしていよいよファイナルです。特筆すべきは予選5位の佐藤選手です。佐藤選手は頸椎損傷で普段から気温や湿度の変化に敏感で、すぐに体調に波が現れます。見るからに体の節々が痛いようでしたが、最初の5発は4発を当ててのトップ、その後もコンスタントに命中させ、優勝した浜村選手と決勝まで競い2位の成績を収められました。総合優勝は下馬評通り浜村選手が勝ち取りました。

全国的に新型コロナウイルスが蔓延する中、このリスクある大会を本当にやるのか、1週間前までとても悩みました。中止や延期をするのは簡単なことです。しかし浜村代表との直前の打合せで、『ご支援いただいたサポーターの皆様と一緒にプレーする最初の大会になるので是非とも開催したい』との並々ならぬ強い気持ちを受け、私も腹をくくりました。開催するからには絶対に感染者が出ないように気を配りながら何とか2日間を乗り切りました。これもひとえに選手・関係者の皆様のご協力あってのことだと感謝しております。ありがとうございました。

今後のパラクレー射撃部会の大会は、個人サポーター及び一般射手の方も出場できるような大会にする予定で準備調整しています。特に部会の活動趣旨にご賛同いただける個人サポーター会員は随時募集しています。詳細は 部会ホームページ をご覧ください。心温まる皆様のご支援をお待ちしております。

最後になりましたが、昨年の第1回大会以上に、今年も島根県クレー射撃協会の皆様方には大変お世話になりました。ご存じの通りパラクレー発祥の地である島根県は交通の便においては恵まれておりません。それにも関わらず遠方から何時間も車を運転してパラクレーのメンバーが集まってくるのは、協会の皆様の温かいもてなしがあるからだと思います。今大会を通じて、いつの間にか「心のバリアフリー」が定着しているのをヒシヒシと肌で感じた8月でした。

(特非)日本障害者スポーツ射撃連盟
パラクレー射撃部会
事務局長 加藤 哲也

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