#303 2020年度JOCジュニアオリンピックカップ スキート 豊﨑健典

THE SHOOTERS No.303 / 2020年12月15日発行 より抜粋

2020年8月22日(土)~23日(日) : 神奈川県立伊勢原射撃場

筆: スキート優勝 豊﨑健典 (茨城県、石岡市役所)

この度はこのような栄誉ある大会の優勝者となったことを、大変光栄に思います。

まず、日ごろより私を応援してくださる家族、コーチ、友人、その他の方々また、このような素晴らしい活躍の場を設けていただいた日本クレー射撃協会はじめ関係者の皆様に対してこの場をお借りして改めて感謝申し上げます。

昨年度の大会に引き続き今回2度目の優勝を果たしたことは、自分にとって大きな自信となったと共に、日々のクレー射撃競技との向き合い方が間違っていないと感じることができるよい経験になったと感じます。

コロナウイルスの感染拡大に伴い、今年はクレー射撃のみならずスポーツ界全体に大きな影響を与えたことは、周知の事実であるかと思います。選手においてもそうした状況下で十分な練習をこなすことができず、非常に苦しい環境であったことだと思います。

そうした中でも、今大会に多くの選手が参加し、射撃競技を通してお互いを競い合うことができたことは、大変うれしく思うと共に、参加した各選手に対して敬意を払わざるを得ません。

今大会においては、トラップ、スキート共に昨年大会以上の非常に白熱した戦であったと感じます。日本クレー射撃界におけるジュニア層の実力が着実に向上していることをひしひしと感じることができました。

同年代に「手強い」と感じる選手がいるということは、私自身にとってもいい刺激になりますし、自分自身をより高める原動力にもなります。今後そうした選手が増え、活躍していくことを想像すると、とても興奮を覚えます。そうした競い合う相手がいるという環境の中で競技を行うということは、何よりも得難いものであると思いますし、今後そうした環境が更なる相乗効果を生み出して、ジュニア層の拡充が図られることを期待します。

自身を振り返ってみますと、今年は競技との向き合い方を非常に考えさせられる年であったと感じます。就職し2年目となった今年、仕事内容が忙しくなる中で競技を続けることの難しさ、厳しさといったものを痛感するようになっていました。一時は「このまま射撃を続けることができるのか」という不安に陥ったこともありました。そうした中で、競技とどのように向き合っていくかということを模索し続けた、そのような年でした。

現在では、働きながら競技を続けることに対してまだまだ不慣れな部分はありますが、自分なりに仕事と競技の両立の仕方というものが掴めてきたと感じます。

社会人として身に着けるべき意識や能力、例えば時間に対して非常にシビアにならなくてはいけないという意識、限られた条件の中でいかに効率的に物事を行うかといった思考力、問題に対する迅速な判断力。そうした社会人生活の中で必要とされる意識や能力といったものが、競技をする上でも反映されて、それが結果にも実を結んでいるのではないかと考えるようになりました。「人間力なくして競技力なし」という言葉があるように、今回の優勝は自分の人間的な成長が結果に繋がったものだと思います。やはり競技をする上で、最も根本的なものは、そういった基礎的な人間性にあると、そう気づけたことも一つ自分の大きな成長であると思います。

今回の優勝によってたくさんの方々から祝勝の言葉をいただいたことも、自分にとって大きな自信となったと共に、日々自分がどれだけ多くの人に支えられているかということを、実感することができました。今大会はそうした意味でも私自身に多くのことを気づかせてくれる価値のあるものであったと思います。

優勝後、自分の周囲でも周りの自分に対する視線というものが変わったと感じます。そう感じるようになったのは、私が今大会の優勝後、地元の射撃場に練習に行った時がきっかけでした。自分の優勝を知っている人やその人伝いに私の優勝を知った人たちが、射撃に関して様々な質問を投げかけてきたり、自分の射撃を後ろについて見て参考にしたりといったことがあり、少々驚いたことがありました。

このことからも自分が、ジュニアオリンピックの優勝者なのであるということを改めて実感しただけでなく、今後はそうした周囲からの「目」がついてくるだろうというプレッシャーを感じるようになりました。それは決してネガティブに捉えているという訳ではなく、むしろ自分を奮い立たせるよい刺激であると、非常にポジティブに捉えています。

私自身非常に多くのことを学ばせてくれる或いは気づかせてくれる大会であったと思います。クレー射撃競技に関わらず、スポーツというものは、実に色々なことを学ばせてくれると共に、自分自身を高められる素晴らしいものです。

今後もこの競技を長く続けながら、自分自身と向き合い、学び、選手としてはもちろん人間としてもより高いレベルであることを目指し、より一層この競技に邁進していきたいと思います。

表彰式(スキート種目)

スキート: 左より 2位阪口、1位豊﨑、3位戸口、4位小島、5位折原、6位布施屋 の各選手

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